溶接のテーマパーク「アイアンプラネット」のキャストの位置付けにあるのが、溶接加工工場の長田(おさだ)工業所の職人たちです。
その職人たち、いわば匠を紹介します。
今日は製缶と呼ばれる加工工程のひとつ、溶接組み立てのプロ、酒井修一です。
製缶とは
製缶(せいかん)とは、もともとは文字通り金属の缶を製作することですが、鉄板や形鋼を切ったり、曲げたり、溶接したりして加工し、立体的な構造物・フレームに組み立てる作業のことも指します。
手で持てるくらいの手すりのようなものから、天井クレーンを操作しながらコンマ数ミリ単位の誤差に気をつけて組み立てていく、男性のような力強さと女性的な繊細さが求められます。
指の感覚にこだわる
酒井は、金属加工の様々な加工工程のなかで、おもに上記のような製缶を得意とします。
画像引用:会社概要:株式会社長田工業所
ちょうど先ほどは、小さな鉄の枠を作っていました。
ふと見ると、鉄と鉄の材料の境目をしきりに指でなでています。
コンマ数ミリの段差も無いように、精神を指先に集中しているのです。
いつもこの場所が、酒井の作業の定位置。
溶接する、ということは、鉄同士に高い熱をかけて溶かしあって接合する方法なので、実際は溶接して仮止めをするたびに鉄材が若干歪みます。
そのわずかな歪みを計算して、図面通りの正確な製品に仕上げるのが製缶の醍醐味とか。
このような様々な形状の手すりを作ったり、数の多い製品を作るときも、とにかく鉄と会話するように状況をみながら、図面どおりのものを作ってくれます。
少し前に、アイアンプラネットで工場を開放することについて、酒井がテレビで聞かれていました。
これまで人に見られることもなく、もくもくと作業していた技術を、工場を開放することで、一般の方に見られることに少し緊張しているようです。
去年、子ども向けに「鉄のミニツリーを作るワークショップ」をしたとき、酒井は一生懸命子どもたちに指導している様子が印象的でした。