鉄工所の社長であるわたしの奥さまからこんな一言が。
「鉄とステンレスって違うの???」
えー!全然違うやろ!!・・・って、一般の方って、実際そんな感じなんですよね。
1.6ミリ厚~3.2ミリ厚くらいまでの「鉄」が初心者の方でも溶接ができる範囲だと考えています。
初心者の方には「鉄」以外の、例えばステンレスなどの溶接はむずかしいので、DIYで金属製品を修理したりするときのための基礎知識として、代表的な金属の違いを知っておきましょう。
「鉄」について
「鉄(てつ)」と「鋼(こう)」との違い
鉄とステンレスの違いの前に、まずは、「鉄(アイアン)」と「鋼(スチール)」の違いです。
普段何気なくぼくも「鉄」って言ってますけど、実は「鉄」なんてそもそもめったにお目にかかれないんですよ。
みなさんが「鉄」だと思っているのは、実は「鋼(はがね、または、こう)」なんです。
そもそも製鉄会社では鉄鉱石から鉄の成分を取り出すのですが、取り出したばかりの純度100%の鉄(Fe)銑鉄なんてのはモロくて使えないんです!
なので、その鉄(Fe)に炭素(C)を加えて合金としているんです。
その「鉄」と「炭素」の合金を「鋼」と言います。
ーーーーここから変更(2019年3月15日)
まずは製鉄会社で、鉄鉱石から銑鉄(せんてつ)を取り出します。
この銑鉄は炭素が含まれているため固くてモロいんです。そこから炭素や不純物を取り除いて強い「鋼(こう、はがね)」ができあがります。
ーーーーここまで変更(ご指摘いただきましたありがとうございました。)
これが皆さんよく言う鉄(鋼のことですね)のことなんです。ややこしや。(くわしく書くと、炭素量が多いのは「鋳鉄」になったりします。)
「鉄(鋼)」の特徴
というわけで私達がよく見る「鋼」(ざっくり言うと鉄)の特徴は、
①加工しやすい
②強度が強い
③錆びる
④磁石にくっつく
といったところです。
なので、映画のアイアン(鉄)マンって本当は弱々しいイメージなんです。
次回作はアイアンよりも強い、スチール(鋼)マンでお願いします。
「ステンレス」について
ステンレスは「鉄」と「クロム」の合金です
鉄よりも光ってるイメージのステンレス。何が違うのでしょうか。
「ステイン」(Stain、汚れ)「レス」(less、ない)という意味。 俗に、ステンレス鋼を「ステン」や「サス」と呼ぶことがある。
ステンレス鋼 – Wikipedia
ざっくりいうと、先ほどの「鉄」に「クロム」を合わせた合金がステンレスです。
先ほどの「鋼」は、表面が黒いイメージがあるかと思いますが、あれは鉄材が生成される際にできる皮膜で、サビを防いでくれてます。逆に「ステンレス」は錆びにくいので、そのままピカピカ光らせてるんです。
錆びにくいからサビ止めのための塗装をしなくていい、だからステンレスは金属っぽい光沢のある感じが出ます。
「ステンレス」の特徴
みなさんがよく目にするところの台所のシンクにはステンレスが良く使われていますね。
「ステンレス」の特徴は、
①加工に技術が必要
②強度が強い
③錆びにくい、でも価格がお高い、
④磁石にくっつきにくい、です。
ステンレスを加工する際についた小キズを塗装で隠せないので、最新の注意で手間をかけて加工しなければいけません。
「アルミ」について
アルミの重さは鉄の1/3!
最後にアルミニウムです。
一円玉や缶ビールなどのアルミ缶の原料で有名ですね。
よく見る一円玉はアルミニウム100%が原料ですが、世の中にあるアルミだと思われているほとんどはアルミニウム(AL)にいろいろ加えたアルミニウム合金となっています。
「アルミ」の特徴
「アルミニウム(アルミ)」の特徴は、
①溶接加工に技術が必要(素人さんには無理)
②強度が弱い(柔らかい)
③錆びにくい
④軽い
⑤磁石にくっつかない
です。
これらの代表的な金属の見分け方
上記の「鋼(鉄)」「ステンレス(SUS:サス)」「アルミ」が、日常でよく触れる三大金属と言えます。
それらのカンタンな判別方法はこの2点。
①磁石を使う
「鋼(鉄)」・・・磁石にくっつきやすい
「ステンレス(サス)」と「アルミ」・・・磁石にくっつきにくい
ということで、磁石にくっつくかどうかで見分けます。
ーーーーここから追記(2019年3月15日)
※たまに磁石にくっつくスレンレス材もあるので、あくまで目安です。
ーーーーここまで追記(そんなに遭遇しない材料だと思い、省かせていただいてました。ご指摘いただきありがとうございました。)
②重さで判断する
同じ体積の場合・・・
「鋼(鉄)」と「ステン(サス)」は同じくらいの重さに対して、「アルミ」はそれらよりも1/3軽いことです。
あれっ?思ったより軽い?と思ったら、それはアルミの可能性大です。
まず①磁石をくっつけてみて、くっついたら鉄(鋼)です。
そうではなくて磁石にくっつきにくかったら、それはステンレスかアルミの可能性があります。
次にそのどちらかを判断する方法は②重さです。
持ってみて軽いと感じたらアルミの可能性が高いです。慣れると見た目でわかります。
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おさだ工業所(アイアンプラネット)では、毎日この三種類の金属と触れ合っていますよ!
コレ以上に専門的に詳しいことを知りたい方は、本を買ったりネットで調べたり、おさだ工業所(アイアンプラネット)にご来社ください。